2014ベスト
- 川島雄三『花影』
- 佐分利信『夜の鴎』『愛情の決算』
- 清水宏『家庭日記』
- 深作欣二『仁義の墓場』
- 中平康『密会』
- 成瀬巳喜男『お国と五平』『コタンの口笛』
- デヴィッド・O・ ラッセル『アメリカン・ハッスル』
- アンディ・ウォーホル『チェルシー・ガールズ』
- ホン・サンス『ヘウォンの恋愛日記』
- マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
- クリント・イーストウッド『ジャージー・ボーイズ』
- 王兵『収容病棟』
- デイヴィッド・クローネンバーグ『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
- 上馬場健弘『rebound』『スーパーラヴァーズ』
- マティアス・ピニェイロ『盗まれた男』
今年の一本というところでは、シネマヴェーラ渋谷で特集上映された佐分利信監督の『夜の鴎』。佐分利信の記憶、回想(と死)に対するこだわりは彼の作品を何本か観てみれば気になってくるところだと思うけれど、『夜の鴎』に至っては作劇上何の説明もしていないにもかかわらず、描かれるすべてが回想と伝聞として構成されている、普通の映画としてみたら下手にも見えかねない演出や突飛な編集、映像的な遊びといった要素がすべて主観的な記憶の表現となっている、そんな境地に達している。現代の記憶の作家、ホン・サンスの『ヘウォンの恋愛日記』が公開された2014年というタイミングで、佐分利信の監督作品がこうしてまとまって上映されたことは、書きとめておきたかった(とかなんとか難しそうな感じで書いてるけど『夜の鴎』はただそこに起こってること、映ってるものを眺めてるだけでめちゃくちゃ感動してしまうし、『ヘウォンの恋愛日記』もそう)。
そういえば、先日阿佐ヶ谷「よるのひるね」で開催された『映画のポケット』、ホン・サンス映画についてのトークショーで、初期作品『豚が井戸に落ちた日』の中で主人公が自分の死を幻視するシーンがあるという話を聞いた時にも、佐分利信の『人生劇場 第二部 残侠風雲篇』の主人公瓢吉が自分の死を幻視する、暗く異様な雰囲気を湛えたシーンを思い起こしました。おんぶもあります。
『花影』『夜の鴎』『愛情の決算』『アメリカン・ハッスル』はそれぞれ二度ずつ観た。NFCの千葉泰樹特集で、三度目の『煉瓦女工』。シネマヴェーラの曽根特集で四度目の『現代娼婦考』。好きな映画を繰り返し観るようになった。『花影』は今年はじめて観たのだけど、自分の中で特別な映画になった。これ以上何もいらないような気もするけれど、来年もその時に観られる映画を観てるだろうなーと思う。まったく観なくなってても、いい感じだったらいいんだけど。今年は映画を観てた。
2013年のベスト
http://d.hatena.ne.jp/autoproc/20140104/1388821283