2012上半期ベスト


 全て初見

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毎日食べたものと観た映画程度は記録するようにしているのだけど、今まで書きっぱなしで振り返ることもなかったのでこの機会に振り返ってみることにした。


2012年1月1日の日記には「『ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル』を1000円で観賞。時間の関係でバルト9にて。西友に寄って食材購入。雑煮を作った。今年は料理の習慣を復活させたい。がんばろう。」と書いてあった。今6月10日の時点で日常食べる為の料理はまるでしていないし、してこなかった。でも7月から勤務地が変わって徒歩で行ける距離になるのでもしかしたら今年の後半にはできるようになるかも。そうしたい。

1月10日には神保町シアターで『御誂次郎吉格子』を観ている。女優が素晴らしい作品だったという印象が強く残っているけれど多くは記憶から抜け落ちている。とここまで書いてその後の日記を追ってみると、かなり忘れていたけれどそれなりにいろいろあり、DJイベントに行ったり、過去に勤めた会社の同期会が約十年ぶりに開催され、それに出席したり、学校の頃の友人と十年以上ぶりに旧交を温めたり、映画館でばったり会った友人と呑んだり、一月だけでもかなりの回数外で人と呑んでいる。二月には高校の同窓会と職場の人の送別会、ホームパーティ、等々。

1月15日「日曜日。曇りのような晴れのような天気。17:45から神保町シアターにて衣笠貞之助『情炎』を観賞。良かった。人を刺してしまった芸者のあの人形のような動き…。全体的に無駄も隙もない作品だった。」何月だったか忘れたけれど、マキノ演出に特徴的な人物の動作、「振り付け」に関しての話を友人がしているのを聞いた。『美しき鷹』も美しい振りの付いている映画だった。くるりと身体の向きを変える、視線を向ける、手を延ばす、そういったひとつひとつの動きに空間も時間の感覚も変化させられる。それを自分の身体感覚として定着させたいと思ったんだった(忘れてた)。2012年の5月に開催された東京デスロックの8時間の演劇『モラトリアム』でも、同様のことを感じさせられたりもしていた。

たしかそういう気分の中で『四畳半襖の裏張り しのび肌』を観た。でもそこにはまた全然違った身体が映っていて、時間の流れ方もまったく別の要素に規定されていると感じられた。それがどういうことなのかよくわからなかったので二回観た。結局よくわからなかったけれど、これが映画の本質的な何かなのではなかろうか!とよくわからないまま一人で盛り上がった(心の中で)。

「特集:映画作家マルグリット・デュラス」では、今まで観てなかった作品を何本も観ることができた。どれも素晴らしかったけれど、中でもデュラス本人の声が入っている作品は特別なもののように思われた。二本の『オーレリア・シュタイネル』の他にも『セザレ』『陰画の手』…彼女の声は本当に魅力的で、でも彼女がもうこの世にいないのを私が知ってしまっていることや、それなりの過去に焼かれたと思しき上映されたフィルムの痛み具合、映ってる風景とサウンドトラックの間の距離、そういった要素と複合的に作用していたのだと思う。この2012年の上映にて。

ダーク・シャドウ』は、とにかく女優が美しくて…ってそればかりいってるような気もするけれど事実なのだから仕方がない。それだけじゃ全然ないけれど、それだけをいいたくなってしまう。『ダーク・シャドウ』から 『女であること』へは女性からのキスで繋がる。『女であること』を観た後、造成中の丘のシーンのロケーションから『愛情萬歳』を単純に連想して蔡明亮の名前を挙げたのだけど、オープニングの三輪明宏の歌う姿はもちろんのこと、突然のキスも『西瓜』にそっくりなシーンがあるし、今まで意識したことがなかったのが不思議なくらいこの二人はセンス的に近いことに思い当たった。そういうまったく別の二つ/二人に類似を見出すのは楽しい。『美しき鷹』からファスビンダーの『ケレル』やダニエル・シュミット作品を、『表か裏か』から日活あたりのプログラムピクチャーを思い浮かべたり、更に当時の日本とインドのアメリカ映画に対する距離感から、ブリストルの音楽やK-POPアメリカ音楽との距離感などを連想するのも楽しい。

2012年の前半だけでももう面白い映画を十分に観た感がある。新作に限っても『ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル』『マネーボール』『J・エドガー』『ヘルプ』『ドライヴ』『バトルシップ』『ザ・フューチャー』『SHAME』『預言者』『ルート・アイリッシュ』『サニー 永遠の仲間たち』『この空の花』等々。『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』だって貶されがちだけど結構好きだったな。観られなかった映画の中にも山ほど良い作品はあったのでしょう。

ベストに挙げたけれどここまで言及しなかった作品もこれらの作品も、それぞれに面白い部分がありそれぞれに何かいいたいような気もするけれど、ここまで書くのに既にかなり時間がかかってしまったので、中途半端ですがとりあえず終わりです。6月もあと半分あるのでもしかしたら後で追加してしまうかも。




2011年の下半期ベスト
http://d.hatena.ne.jp/autoproc/20111229/1325178329