ゼロ年代、最高の映画

00年代も残り後ひと月と少しということで、この十年のベストと思う映画を挙げてみようかと労働の合間にあれこれと考えていたのだけれど、十年というのは振り返ってみるとそれなりに長いもので、候補として挙げられる作品だけで相当な数にのぼってしまう。それでも試みに、数十本の候補から取捨選択して無理矢理10本に押し込めてみたところ、それぞれはもちろん素晴らしい作品に違いないのに、どうもそれらがずらっと並ぶと、結局何がいいたいの?という感じの、曖昧な、魅力の感じられないラインナップに陥っている…。


わざわざ十年という括りを設けてるのに、ベスト10がベスト11になってもたいして変わらないような、あるいは明日になったら別の作品が並んでしまうかもしれないというような、あれもいいよねこれもいいよねというような、選んだその人の想いがまったく見えてこないような…そんなリストなんて作る意味ないんじゃないのかという疑問が生じ、結局十年という括りもフィクションなのだし選ぶ数だって同様にフィクションなのだから、お前にはこの十年はどうみえたのか。何に賭けたのか、賭けるつもりなのか。ということが一目瞭然にわかるような気合いの入ったフィクションを見せてみな!という声がどこからか聞こえてきたので、数時間に渡る血の滲むような(どこに?っていわない)努力の結果の、自分にとってはこれ以上ない決定的な!00年代の三本の作品を以下に挙げます(さすがに一本でってのは無理)。順不同。


デヴィッド・クローネンバーグヒストリー・オブ・バイオレンス
王兵鉄西区
蔡明亮『ヴィザージュ』


これこそ!という三作品。(中略)後悔はしていない…。
ヒストリー・オブ・バイオレンス』と『鉄西区』については様々な人が様々なところでその凄さを語っていて、自分としても今それに付け加えることは無いような気がするのだけれど、問題は『ヴィザージュ』。マッチ売りの少女が最期の瞬間に観た儚くも鮮やかな幻たちをフィルムの上に永遠に焼き付けてしまったかのようなこの作品の美しさについて、まだ十分に語られているとは到底思えないし(むしろ現状、否定的な側に説得力のある意見が多い感がある…)、挙げたからにはきちんと語らないといけないのだろうとは思うのだけれど、ここに実現された映画的な達成や別に映画的でもない達成、またそのチャーミングさや自分の感じたこの作品の面白さに対して、それを伝えようとする言葉がまったく追いつかない…何度か試みてはみたのだけどちっともうまくいきません…。といっていてはいつまでも黙ったっきりになってしまうので、追いつかないなりに仕方ないと諦めた上で、後日少しでも書くつもりです…。